【遭遇したくない】サメの中で最も危険な種ランキング!

人を食うサメ

「サメ」といえば、かの『ジョーズ』などの影響で「人を襲う生物」という認識をされることも多いかもしれない。

しかし、実際に人を襲うサメは全体のほんの一握りである。(サメの全509種中2~30種程度)

しかも、その多くが「アザラシなどの餌と間違えた結果」だともいわれる。

 

そもそも・・・

サメはサメでもジンベエザメのようなプランクトンを食べるものもいれば、小型で臆病なもの、深海で過ごすため人と遭遇すること自体がほとんどないものなど、色々なサメがいる。

もちろん、種類が少ないからと言ってそれは「サメは人を襲わない」ということを意味するわけではないし、目の前に人を食うタイプのサメが現れたら、我々ヒヨワな人類はただただ祈るしかないわけであるが・・・

では、「実際に人を襲うサメ」にはどういう特徴があり、どういう種がいるのか・・・

今回は「危険なサメ」をランキング形式で紹介しながら、警戒すべきサメとそうでないサメの見分け方などもまとめてみようと思う。

サメの危険度ランクの基準や定義については、長いので記事の最後でまとめたのでそちらを参照してほしい。

では、早速見てみよう。

 

危険な人食いザメランキング(1580年~現在)

ホホジロザメ

Great white shark is going for a bait.jpg
[[File:Great white shark is going for a bait.jpg|thumb|メキシコ・グアダルーペ島沖に出没したホホジロザメ]]

 

「人食いザメといえばホホジロザメ」といえるほどメジャーなサメ。

むしろ、「サメ」といえば、10人中9人がホホジロザメの大きく開かれた口を想像するかも知れないというレベルで代表的なサメ。

言わずと知れた「ジョーズ」のモデルとなった種であり、そして世界で最も事故報告数の多いサメ。

ISAFの公式記録でも、非挑発事例にもかかわらず350件以上の攻撃事例、そして60件近い死亡事例を記録しており、これはサメの中でもダントツの事故報告件数である。

※ISAF・・・「インターナショナル・シャークアタック・ファイル=国際サメ被害目録」

さらに上記はあくまでISAFが「正確に把握した被害の」統計のみの場合である。

 

ISAF(国際サメ被害目録)は、世界中で報告されたサメによる攻撃事例を追跡しているが、ISAFが報告している攻撃事例はすべてのサメ被害を完全に網羅しているわけではない。

 

他にも、たとえば立地上サメ被害の多い国であるオーストラリアの統計では、1791年から2006年までの約200年間に668件の事故が記録されており、その内191名が死亡した(「件数」ではない点に注意。後述。)とされており、オーストラリアで記録されたサメ事故の件数はISAFの記録よりも多い。

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そしてホホジロザメは、日本でもたびたび死亡事故を引き起こしているサメであり、やはりこの種が名実ともに「最も危険なサメ」といえるのではなかろうか。

ただし、「人食いザメ」のイメージが強すぎるためか、サメによる被害は何でもかんでも彼のせいにされる傾向もある。

 

たとえば、ホホジロザメとシルエットの似たメジロザメ系の被害が、ホホジロザメによる被害と誤認記録されているケースも多い。

たとえば、よくホホジロザメと間違えられる代表としてオオメジロザメが挙げられる。

ホホジロザメは知識のある人が見れば体色や模様、細部の形が違うと分かるが、全体的なフォルムは割と似ている。

まして、視界の悪い海中では見間違えも多くなってしまうのだ。

 

とはいえ、正確に残っている記録だけでもホホジロザメが最も人を襲っていることは疑いようもない。

彼らの生息範囲や食性ともに人を襲う条件は見事に揃っており、「世界で一番危険なサメ」の地位は今後も揺るがないだろう。

 

イタチザメ

Tigershark3.jpg
Albert kok Juvenile tiger shark Bahama’s

 

惜しいかな後世、ホホジロを云いてイタチを云わず・・・

・・・なんて、真田幸村の影に隠れる毛利勝永を詠んだ句みたいなのを思わず口ずさみたくなるのがこのイタチザメだ。

実はホホジロザメに劣らず危険な種なのだが、いかんせん、ホホジロザメがあまりにも有名すぎて認知度がイマイチ低い。

なんだったら、イタチザメが思いっきり出ている動画なのに「ホホジロザメ」というタイトルで出されていたりする。あんまりである。

日本では「イタチ」というなんとも弱そう(?)な名前で呼ばれているが、むしろ、海外の「タイガーシャーク(トラザメ)」という呼び名の方がしっくりくるくらい危険な種なのに・・・!

 

ホホジロザメよりマイナーとは言ったが、実は日本の漁師の間では悪い意味でおなじみのサメでもある。

なんせその食いしん坊っぷりから当然のごとく漁業被害を及ぼすため、しばしば駆除の対象になったり、他の魚を獲るための網に引っかかって混獲されたりする。

また人を襲うこともかなり多く、ISAFのシャークアタック事例では二番目に多い。

非挑発の事故件数ではホホジロザメの350程度に対し、イタチザメは140程度(死亡事例40件程度)とやや少なめに見えるが、凶暴性ではホホジロザメに引けを取らないサメである。

 

コイツの厄介な点は「とにかく目の前にあるものは何でも食う」というその食性だ。

目の前にあるものは、動いていようが動いてなかろうが、見境なく口に入れるのである。

もう見間違えとか関係ないんじゃないか・・・

「そこに口に入れられそうな物体があるからだ」

と言わんばかりに、ホントになんでも食う。

 

げんに、イタチザメのお腹の中からは魚やイカ・タコのみならずウミガメ陸生生物ペットボトルやネジなどのゴミ、さらには中世騎士の甲冑まで発見されており、星の〇ービィでも目指してるのかと思うほどとりあえずなんでも飲み込むヤツなのだ。

人間の投棄した無機物ゴミですら平気で食うその悪食っぷりから、イタチザメのことを「ヒレのついたゴミ箱」と呼ぶ人もいるんだとか。

 

また、自分より大きな生物ですら平気で襲う。

たとえば巨大なザトウクジラを集団で襲った事例もあり、1匹でも大型で危険なのに、集団で襲われたら生きて帰れる気がしない。

むろん人間も例外ではなく、襲われればお構いなしに食われてしまう。日本でもさりげなくイタチザメによる死亡事故が起こっている。

たぶん、イタチザメの被害は半分くらいはホホジロザメに吸われてる可能性もあるのではないだろうか。

もっと注目されるべきサメである。

 

オオメジロザメ

Bullshark Beqa Fiji 2007.jpg
Pterantula, CC 表示 2.5, リンクによる

「ウシザメ(ブル・シャーク)」とも呼ばれるオオメジロザメ。

ずんぐりとした体型と、尖ったヒレや鼻先、ギザギザの牙、虚ろで小さな目・・・

上位二種よりはいくぶん小さいが、いかにも我々がイメージする「人を食う系のサメ」そのものの面構えをしたサメであり、その見た目通り危険な種といえる。

ISAFの記録によると、非挑発攻撃事例は120件程度、うち25件程度が死亡事例となっており、これはイタチザメに次ぐ被害の多さとなっている。

そしてこのオオメジロザメの最大の強み(危険性)は、「海だけでなく淡水でも活動可能」という他のサメにはない生態にある。

つまり、河でボートを漕いでいたらコイツが突然現れて人を襲う・・・なんてことがありうるのだ。

実際に、洪水で海から流されてきた複数のオオメジロザメがゴルフ場内の池に住み着いた・・・なんていう恐ろしい記録もあり、環境の適応性という点では上位2種よりも厄介。

有名なニュージャージー州サメ襲撃事件では川で襲われ犠牲になった人が相当数いたため、真犯人は捕獲されたホホジロザメではなく、このオオメジロザメという説もある。

日本でも沖縄の沖合や一部の河川に生息しており、死亡事故も報告されている。

全体的な形はホホジロザメに似ていなくもないため、彼もまたホホジロザメの影に隠れがちである・・・。

なお、ホホジロザメ・イタチザメ・オオメジロザメの3種は特に人を襲うため「ビッグ3」と呼ばれている。

 

ヨシキリザメ

Tiburón azul (Prionace glauca), canal Fayal-Pico, islas Azores, Portugal, 2020-07-27, DD 06.jpg
Diego Delso, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

その細長いボディと鮮やかな青色、大型で尖った尾鰭により「優美」とも「不気味」ともいえる独特のフォルムが特徴的なヨシキリザメ。

「世界で最も美しいサメ」ともいわれる。

実は日本だとマグロとの混獲でおなじみのサメで、我々が「食用のサメ」でイメージするような、いわゆるかまぼこやフカヒレの素材にされることが多いサメでもある。

が、その危険性はサメの中でも割と上位に入る。

ISAFの記録によると、非挑発攻撃事例は「13件」とそう多くはないが、その内4件が死亡事例となっており、致命的事故に至る割合は大きい。いざ人間が大型のヨシキリザメに襲われた際はタダで済まないと考えるべきである。

2017年には北アフリカのリビアから地中海へ向かった難民ボートが転覆し、70名以上がヨシキリザメを含む多数のサメに襲われて犠牲になったという物騒なニュースも・・・。

「件数」と「人数」の違いに注意。
交通事故では、2名以上が被害に遭っても同じ事故の範囲であれば何名被害に遭っても「1件」とカウントされる。
それと同じで、たとえばこの難民ボートの件では死亡者数が「70名」であっても、ISAFのデータに記録されているとしたら、「致命的事故に至った事例・1件」としてカウントされる。「70件」にはならない点に注意。

なお、ヨシキリザメは「ターゲットの周辺をゆっくり旋回する」という攻撃前の独特な予備動作でも知られており、場合によっては10~15分以上ターゲットの周囲をクルクルしてから突然襲ってくる場合もある。

 

ヨゴレ(ヨゴレザメ)

Oceanic Whitetip Shark.png
An image of the Oceanic Whitetip Shark (Carcharhinus longimanus) and Naucrates ductor. The photo was taken on 5 November 2003 at Elphinstone Reef in Egypt in the Red Sea. The photo was released under the GFDL license by Thomas Ehrensperger of http://www.underwaterpicture.com/

ヨゴレは、その目立った外見的特徴から、比較的ほかの種との判別が容易なサメだ。

丸みを帯び、先端が白くなったヒレは一目で他のサメとは違うと分かる。

このサメは、沿岸に出没するホホジロザメやイタチザメとは違って外洋性のサメであり、基本的に人間と遭遇することはそう多くはない。

ISAFの記録でも、一見被害数はそれほど多くはないように見える。(非挑発攻撃事例は15件、内3件が死亡事故)

・・・が、海洋学者の中には「ヨゴレこそ最も危険なサメ」と評する人もいるほど、外洋性の中ではトップクラスの危険度を誇るサメである。

 

ヨゴレは「船の沈没現場に出現し、そのたびに生き残った乗員・乗客の多数を死に追いやる」という恐ろしい伝説(やや誇張もある)をいくつも残していることで知られる。

たとえば・・・

  • 1942年、イギリスの客船ノバスコシアがインド洋で沈没し、1,052名の乗員のうち858名が死亡。
  • 1945年、フィリピン海で米重巡洋艦インディアナポリスが撃沈され、約800名の乗員が死亡。

これらの沈没では、脱出後に漂流しているところをヨゴレに狙われた被害者も相当数いたと推測されている。

 

もしそれが事実だとすれば、ヨゴレによる「死亡者数」はホホジロザメやイタチザメすらも大きく超えているかも知れない。

・・・しかし、沈没事件・沈没事故の注意点として「サメによる死亡であると断定できないことが多い」という難点があある。

船の沈没は、溺死や凍死なども含めて多数の犠牲者が出てしまう。

それは当然だが、なんせ犠牲になる数が多く、行方不明で処理される人数も多い。

要は「一人一人の死因が正確に断定できない」。

なので、犠牲者の一人一人がサメ(ヨゴレ)に襲われたと正確には言い切れず、ISAFのシャークアタック事案には不正確なデータとしてカウントされない可能性があるのだ。

また、陸から遠い外洋であれば事故の瞬間を目撃して正確に証言できる人もおらず(というか目撃者自身も大半がやられている可能性がある)、加害者のサメを捕獲することもできない。

また逆に、「ヨゴレはいうほど危険ではないのでは?」という意見もあり、実際にヨゴレがどの程度人身事故を起こしているかは不明である。

(たとえばインディアナポリスの乗員の大半はサメではなく戦闘による負傷や飲料水・食料不足の方が深刻だったとも)

「ISAFの記録だけですべてのサメの危険度を完璧に比較できるわけではない」

という好例かも知れない。

 

しかし、サメという生き物は負傷による流血がわずかに海水に混じっただけでも匂いを嗅ぎつけて寄ってくるし、人の排泄物にも強く反応する生き物。

まして、何百人もの漂流者が集まっていれば、そこはサメにとって「非常に良い匂いのする」格好の餌場なのだ。

こうした生態を考えても、ヨゴレが本当に何百人単位の被害を及ぼしていたとしても不思議はないだろう。

 

以上、実際の被害数は不明な点も多いためランキングとしてはこのあたりに落ち着いた。

しかしいずれにせよ、ヨゴレは「外洋性のサメの中では」人を襲った記録が最も多い。

もし万が一遭難中などにコイツに遭遇してしまえば、ホホジロザメなどと同様に危険なサメであることは間違いない。

最近では、2010年にはエジプトのリゾート地のシャルム・エル・シェイクになぜか外洋性であるはずの本種が出現し、5人の観光客が襲われ、高齢女性一名が死亡する事故が起こっている。

 

クロヘリメジロザメ

Bronze whaler auckland.jpg
Bronze whaler (Carcharhinus brachyurus) at Kelly Tarlton’s Antarctic Encounter and Underwater World in Auckland, New Zealand.

クロヘリメジロザメは、サメの中では非常にまれな温帯に生息するサメである。

普段はそれほど積極的に人を襲うわけではなく、比較的臆病で大人しい種・・・とされている。

しかし、比較的大型の肉食ザメであるため、万が一暴れ出せば人を死に至らしめることもある。

上位のサメに比べれば被害件数は少なく見えるものの、ISAFの記録によるとサメの中では6番目に人を襲った記録が多い。(ISAFの非挑発攻撃事例は16件、内1件が死亡事故)

なお、これは他のサメにも言えることだが、比較的大人しい本種でも「近くに餌がある」といった場合などには狂乱索餌状態になって人を襲うケースもある。

死亡事故は比較的少ないというが、実際はクロヘリメジロザメに突如噛みつかれる等の事故は相当数起こっている。

たとえば、米フロリダ州で発生するサメ事故の16%程度が本種の仕業とされる。

 

アオザメ

Isurus oxyrinchus by mark conlin2.JPG
Mark Conlin, SWFSC Large Pelagics Program – http://swfsc.noaa.gov/ImageGallery/Default.aspx?moid=532

アオザメは、ヨゴレと同様外洋に暮らしているサメである。

人との接触機会は少ないものの、最大で4mにも達する大型の肉食ザメであり、いくつかの人身事故も報告されている。(本種の非挑発事例は10件で、死亡例もある。)

アオザメは細長い胴体により、サメ類の中でも非常に速く泳げる。

瞬間的に43 mph (時速70 km)もの速度を出すことも可能であり、狙われれば逃げることすら難しい。

 

なお、先に述べたシャルム・エル・シェイクのサメ事故は当初アオザメの仕業と思われていた。

しかし本種が現地で捕獲された後、別のサメ(ヨゴレ)が観光客を襲撃したため、犯人(犯鮫?)はこのアオザメではなかったことが判明したという。

つまり冤罪だったわけだが、こんな大型で肉食のサメをリゾート地に放置するわけにもいかないからしょうがない。

捕獲されちゃった子は気の毒だけど。

 

しかし、このアオザメといい、ヨゴレといい、いずれも外洋性にも関わらず紅海沿岸のリゾート地に集まっていたのはなぜなのか・・・。

その件に関しては「生態系の変化による餌の不足」「死んだ家畜が海に投げ込まれたことでサメを引き寄せてしまった」など諸説あるが、ハッキリした原因は不明でなんとも不気味である。

なお「アオザメ」を英語に直訳すると「blue shark」となるが、これは英語圏ではヨシキリザメを指すので混同に注意。

 

ガラパゴスザメ

Carcharhinus galapagensis hawaii.jpg
Dr. Dwayne Meadows, NOAA/NMFS/OPR – http://www.photolib.noaa.gov/htmls/reef0693.htm

 

ガラパゴス・・・という名がついているものの、ガラパゴス諸島だけに見られる種というわけではなく、世界中の熱帯海洋島周辺に生息しているサメ。

3mほどに成長する大型種であり、性格も攻撃的であるため襲われれば危険である。

ISAFの記録では、死亡例こそ「1件」とされており、少ないように見えるが、人を襲うだけの力は十分に持っているため注意が必要。

たとえば、ダイバーが遊泳中にガラパゴスザメと遭遇し、最初近付いたときは大人しかった彼らが徐々に興奮状態となり、ダイバーをヒヤリとさせたという例も報告されている。

 

ドタブカ

Carcharhinus obscurus at Seaworld.jpg
Happy Little Nomad from Everywhere, Anywhere – Sharks At Seaworld

最大4mにも達する大型種で、メジロザメ属の中では最大の種である。

大型種であり、最近は絶滅が危惧されるほど個体数が少ないのもあってか、人を襲った記録は少ない。

しかし、非挑発事例で6件の襲撃が記録され、1件は死亡事故。

その大きさもあって決して安全とはいえない種だ。

イタチザメのように、ウミガメやゴミを食べる例もあるうえに船にも襲い掛かることもある困ったちゃん。

なお、ドタブカは沿岸から外洋まで様々な場所で活動するのが特徴で、全世界の海で遭遇する可能性がある。

また、メジロザメ属全般に言えることだが(暗い海の中だと特に)外見からは他のメジロザメ属の仲間と見分けることが難しいサメでもある。

そのため、実はドタブカに襲われたものが他のメジロザメ属のものとしてカウントされている場合もあり得るのだ。

たとえば、本種はオオメジロザメやオグロメジロザメと比べたとき「ずんぐりした体型」「尖ったヒレ」などが、一見すると見分けがつかないほど外見がよく似ている。

 

※その他、メジロザメ属いずれかのサメに襲われたが、正確な種類の判別が難しいとされた死亡事例が5件、ISAFの統計に載っている。

 

大型で肉食のサメなら、どれも人を襲う可能性はある

以上がISAFの記録からランク付けした、危険なサメのランキングとなった。

ただ一点だけ誤解のないよう、是非覚えておいて欲しいのは・・・

サメというのは「大型で肉食性であれば、人を捕食する可能性は常にある」ということ。

 

実は「サメの危険度」というのを、何をもってランク付けするのかというのは、実はヒジョーに難しい問題で・・・。

結局、この記事は一番客観的なデータ(ISAFの統計)をもとに「危険なサメ」をランク付けすることにしたわけだ。

確かにこのデータは世界で最も信頼できるサメ被害データかも知れない。

・・・しかし、このデータをもって「サメの危険度」をランク付けするのには問題もないわけではない。

なんせ、このデータではあくまで「統計として判明している範囲で」「人を襲う被害が多く報告されているサメ」をランク付けすることしかできないのである。

 

勘違いしてはいけないのが、「被害統計が少ない=人を襲った記録が少ない」からといってすなわち「安全なサメ」・・・というわけではないということ。

 

たとえば、ホホジロザメやイタチザメは大型の肉食サメであり、人がレジャーなどで遊びに出かける海岸・沖合などによく出没する種である。

だから、当然遭遇機会も多くなる。

また、こいつらは「非挑発事例」すなわち、人間が特に刺激しなくても襲ってくることが多々あるのだ。

だからこそ、毎年この二種による死亡事故が多発※しており、「危険な種」として人類にも認識されやすいワケである。

※トータルだと人間が生涯サメに襲われる確率はおよそ370万分の1しかないとも。

 

・・・しかし、「認知度や遭遇率は低いが、潜在的に危険なサメ」というのはいる。

たとえば生息範囲が外洋や深海など、人が普段入り込まない場所に生息するサメは、あまり人と遭遇することはない。

遭遇機会が少ないゆえに、その危険性についても未知数であることが多いのである。

 

たとえば、ヨゴレなどの外洋性のサメは「たまたま人間と遭遇する機会がない」ため、当然事故もホホジロザメなどに比べればあまり多くは報告されない。

しかしあくまでそれは「遭遇した報告が少ない」というだけであり、「大型で」「肉食性であれば」どんなサメも人を食べてしまう可能性はあると考えた方が良い。

 

また、ヨシキリザメやシュモクザメのように「小型の個体はさほど怖くないが、大型の個体だと人を襲う場合がある」というように、同じ種でもサイズによっては危険度が跳ね上がるケースもある。

※この二種は現に人を死に至らしめたケースもあるので、大型個体は十分注意しなければならない。

 

このサイトにおけるランク付けの基準についても、(ISAFのデータ上で分かる)単純な襲撃件数にするか、死亡件数(致命的事故件数)にするかは非常に悩ましかった。

実際、「襲撃された件数は多いものの、データ上は死亡事故がないためランク外となった種(シロワニ等)」もいる。

結局、本サイトでは「実際に人を死に至らしめた件数」を重視してこのランク付けとなったが、サイトによってこの基準はまちまちなので注意して欲しい。

しかし、ISAFのデータにない場所で死亡事故が起こっている種、人を死に至らしめる力はあるが「たまたま」「まだ」死亡事故に至っていないだけの種も存在しうるのだ。

 

このランキングはあくまで、

  • 「人との遭遇機会=事故件数が多く」
  • 「非挑発事例でも人を攻撃することがあり」
  • 「かつ死亡事故に至った件数の多い種」
  • 「このサメが襲ったと断定されている事例の統計」

・・・という基準をもとに作ったランキングであり、絶対的なランキングではないのである。

 

つまり何が言いたいかというと、

「デカくて牙の生えた肉食のサメは基本的に危ないので、油断は禁物」

ということで、遭遇した場合は甘く見てはいけないということだ。

 

サメが人を襲う原因は「勘違い」?

サメは本来好んで人を襲うわけではない、という意見もある。

サメは決して故意に人を襲っているわけではなく、厳密な意味で「人食いザメ」と言える種はいない。

 

たとえば、クマは人の味を覚えた個体が連続で人を襲うケースがあるが、サメが人を襲うのは主に「見間違え」なんだとか。

ホホジロザメは水泳用フィンやサーフボードを使って泳ぐ人間をアザラシなどの餌と間違えることがあり、それゆえに人を襲うという説もある。

実際動画を観ると、確かに海に浮かんだサーフボードと、バタバタする人間の手足はアザラシに見えなくもない。

 

・・・とはいえ、見間違いだろうがなんだろうが、襲われる側はサメに「見間違えですよ!」と教える方法もないし、対話などできるはずもない。

襲われる側は「襲う側の好む・好まない」は関係なく、ただ襲われるという事実がそこにあるのみである。

間違いだろうと、何かのきっかけでサメに「エサ認定」されればタダでは済まない。

 

サメに襲われて死ぬ確率は決して高くはないし、過度に恐れることもないが、決して甘く見てもいけない。

一度彼らに「餌」認定されれば、あとは食うか、食われるか・・・否、「食われるか、食われないで済むか」の生存競争が待っているだけだ。

これは、他の動物と人類が接するときの基本的な心構え・・・と言えるかも知れない。

 

ホホジロザメとイタチザメを命がけで撮影する動画

実際に海中でサメに襲われるとどうなるか・・・

というのをよくイメージできる動画があったので紹介しておこう。

タイトルはホホジロザメとなっているが、半分はイタチザメ(鼻先の形と模様で判別しやすい)のパートじゃん、と筆者はツッコミを入れた。

こんなとこでもイタチザメの不遇っぷりが見られて同情する・・・

この動画でイタチザメとホホジロザメを余裕で見分けられるようになったら、君もサメ博士の第一歩を踏み出せるぞ!是非挑戦してみよう。

 

結構なグロもあるので、苦手な方は注意!

動画内では囮用のウシを投入しており、その体がサメによって綺麗にかじり取られている様子も撮影されている。

見た目以上のサメの歯の鋭さとパワーが伺え、人が一発噛まれただけで行動不能なほどの重傷を負うのも納得するだろう。

また「ヒレ付きのゴミ箱」ことイタチザメが、どう考えても魚には見えない水中カメラを食ってバラバラにしている様子も撮影されており、「ほんとにコイツ何でも食うんだな」というのが伺える。

 

サメに襲われ大怪我をしたものの、奇跡的に生還した人の動画

また、こちらの動画ではサメ(ホホジロザメ)に襲われながら命からがら生還した男性の経験談が聴ける。

よくメディアで「サメの弱点はエラや鼻先で、そこを殴れば退散する」と言われる。

・・・しかし、彼の証言を聞いていれば実際にやってみるとそう簡単なことではないことが伺える。

大型のサメはその「鮫肌」と硬さによって、まるで「岩を殴っているような」感触だという。

※そのため、サメに反撃する際は素手ではなくケータイなどある程度「硬いもの」で殴ることが推奨されている。

まして、自由に海を泳ぎまわるサメに対してヒトは不安定な海中で視界も悪い状況。不意打ちを受けて怪我もしていれば、圧倒的に不利になる。

このケースでは襲ってきたサメは1匹だったようだが、下手したら血の匂いに誘われて仲間が集まってくることもある。

サメの隙をついて弱点を攻撃し、格好良く撃退・・・なんてことは相当慣れていても難しいし、こちらもダメージ覚悟でなければ難しいことを思い知らされる。

 

危険なイタチザメを駆除し、解体する様子を解説する動画

200kg前後のイタチザメを2頭捕獲し、駆除する様子を鮮明に収めた動画。

サメの生態や、瞼のある目、イタチザメ特有の縞模様、内臓の配置などが詳しく解説されているので非常に勉強になった。

200kg程度だとイタチザメの中では特段大きな個体ではないものの、それでも動画を観る限りではかなり大きく凶暴で、捕獲には苦労していた様子・・・。

悪食ぶりで有名なイタチザメだが、胃の中からは亀やカニ、あるは誤飲したと思われる網なども出てくる。

内臓などが出てくるのでちょっと閲覧注意。

なお、同じシリーズの別動画ではエラの解体シーンなどもあるが、集合体恐怖症の人には割とキツいかも。

しかし、最後は美味しく(?)お料理して食べる様子もあり、新鮮なサメは意外と食えるものなのだと分かる。

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